ローズマリーを育てて増やすしたい!
そう思って地植えでいっぱい育ててみようと思った方もいらっしゃると思います。
ローズマリーは生育旺盛で、地植えにするとぐんぐん広がる植物です。
しかし、適切な剪定や管理を怠ると、広がり過ぎてしまう可能性があります。
ここでは、ローズマリーが地植えで広がり過ぎないようにするための剪定方法と管理術をご紹介いたします。
ローズマリーを地植えすると広がる?理由とメリットとデメリット
ローズマリーを地植えにすると、驚くほど広がります。
その理由は、ローズマリーの持つ強い生命力と、品種ごとの特性にあります。
下記で、詳しい理由や地植えのメリットとデメリットをご紹介いたします。
ローズマリーが地植えで広がりやすい理由
非常に強い生命力
ローズマリーは、乾燥や貧しい土壌にも耐えることができるほど生命力が強い植物です。
地植えにすることで、鉢植えの時とは比べものにならないほど根を張り、水や養分を効率よく吸収します。
これにより、株全体が大きく、早く成長します。
品種による成長タイプの違い
ローズマリーには、大きく分けて3つのタイプがあります。
- 立性(りっせい): 上に向かって垂直に伸びるタイプ。生垣や目隠しに適しており、剪定しなければ高さが2mほどになることもあります。
- 匍匐性(ほふくせい): 地面を這うように横に広がるタイプ。グランドカバーとして使われることが多く、横幅は数メートルに広がることもあります。
- 半匍匐性(はんほふくせい): 立性と匍匐性の両方の性質を併せ持ち、最初は上に向かって伸びた後に枝が垂れるように広がるタイプです。
特に匍匐性の品種は、地面を這うように枝を伸ばし、その枝からも根を出して株を増やしていくため、驚くほど広範囲に広がることがあります。
頂芽優勢(ちょうがゆうせい)の性質
ローズマリーは、先端の芽(頂芽)の成長が優先される「頂芽優勢」という性質を持っています。
剪定をせずに放置すると、先端の枝ばかりが伸び、株の内部の脇芽は成長しにくくなります。
これにより、枝が一本のびのびと徒長し、結果的に全体が大きく広がってしまいます。
ローズマリーを地植えするメリットとデメリット
ローズマリーを地植えにすると、予想以上に大きく育ちます。
この特性は、管理の手間を減らすというメリットにもなる一方、適切な対策をしないと手に負えなくなるというデメリットにもなります。
ローズマリーを地植えするメリット
管理の手間がほとんどかからない
一度根付いてしまえば、基本的に水やりや肥料はほとんど必要ありません。
地中の水分と養分だけで十分に育つため、忙しい方やガーデニング初心者でも手軽に栽培できます。
生育旺盛で大きく育つ
鉢植えの限られたスペースとは異なり、地中に根を広々と張ることで、株全体が大きく成長します。
立性の品種は樹木のように高くなり、生垣や目隠しとしても活用できます。
また、匍匐性の品種は地面を覆うように広がり、雑草が生えるのを防ぐグランドカバーとしても優秀です。
収穫量が格段に増える
大きく育つ分、葉や枝をたくさん収穫できます。
料理やハーブティー、アロマクラフトなど、さまざまな用途で新鮮なローズマリーをふんだんに楽しむことができます。
ローズマリーを地植えするデメリット
広がりすぎて手に負えなくなるリスク
生育が旺盛すぎて、他の植物の生育を妨げたり、庭の景観を乱したりすることがあります。
特に匍匐性の品種は、管理を怠るとあっという間に広がり、思わぬ場所まで侵食してしまう可能性があります。
移植が難しい
ローズマリーは、一度根付くと移植を嫌う性質があります。
根を傷つけてしまうと枯れてしまうリスクが高いため、安易な気持ちで地植えにすると、後で場所を変えたくなっても難しくなります。
蒸れによる病害のリスク
株が密生しすぎると、内部の風通しが悪くなり、湿気がこもりがちになります。
これにより、うどんこ病やカイガラムシといった病害虫が発生しやすくなります。
定期的な剪定で風通しを確保することが重要です。
予想外の巨大化
剪定を怠ると、立性の品種は樹木のように巨大化し、手に負えなくなることがあります。
植え付け前に、将来的にどのくらいの大きさにしたいかをイメージしておくことが大切です。
ローズマリーを地植えすると広がる?抑えるための剪定術
ローズマリーの地植えでの広がりをコントロールし、美しく健康な状態を保つためには、正しい時期に正しい方法で剪定を行うことが非常に重要です。
- ローズマリー地植えの剪定時期
- ローズマリー地植えの剪定テクニック
- ローズマリー地植えの剪定注意点
この3つを下記で詳しくご紹介いたします。
ローズマリー地植えの剪定時期
ローズマリーの剪定に適した時期は、主に春と秋の2回です。
剪定に最も適した時期:春(花後)
- 時期:4月~6月頃
- 理由:ローズマリーの成長が最も活発になる時期です。冬の間に伸びすぎた枝や、枯れた枝を整理することで、風通しを良くし、病害虫の発生を防ぐことができます。この時期の剪定は、新しく出る芽が成長しやすいため、思い切った強剪定も可能です。
- ポイント
- 咲き終わった花を摘み取るついでに、全体の形を整えましょう。
- 株全体の大きさを半分から3分の2程度まで切り詰めることで、若返りを図ることができます。
軽く整える時期:秋
- 時期:9月~10月頃
- 理由:夏の暑さで伸びた枝や、枯れた枝を整理し、樹形を整えるために行います。冬の寒さに備え、株の負担を軽くする目的もあります。
- ポイント
- この時期の剪定は、あくまで形を整える程度の軽い剪定に留めましょう。
- 枝を大きく切りすぎると、寒さに耐えられず株が弱ってしまう可能性があります。
ローズマリー地植えの剪定テクニック
切るべき枝の見分け方
- 枯れた枝:茶色く変色し、乾燥している枝は、株の栄養を無駄に消費しているため、根元から切り取ります。
- 内向きに伸びる枝:株の中心部に向かって伸びている枝は、風通しを悪くし、蒸れの原因になるため、切り取ります。
- 密集している枝:一つの場所から何本も枝が密集している部分は、間引いて風通しを良くします。
- 木質化した枝:根元に近い部分の硬くなった枝を切り戻すことで、新しい芽の成長を促します。ただし、木質化した部分には芽が出にくいため、必ず少し葉が残っている部分(緑色の部分)で切るようにしましょう。
剪定ハサミの正しい使い方と選び方
- 切れ味の良いハサミを使う:切れ味が悪いハサミを使うと、枝が潰れてしまい、そこから病気が入る原因になります。常に清潔で切れ味の良い剪定ハサミを使いましょう。
- 切る角度:枝の付け根や、芽の少し上で斜めに切ることで、水が溜まりにくくなり、病気を防ぐことができます。
- 剪定後の手入れ:剪定後は、株が弱らないように、日当たりと風通しの良い場所で管理します。病害虫が発生しないか、しばらく様子を見ましょう。
ローズマリー地植えの剪定注意点
木質化した枝の扱い
ローズマリーは、古い枝が硬く木質化します。
この木質化した部分には、基本的に芽が出ません。
そのため、剪定する際は必ず、緑色の葉が残っている部分で切るようにしましょう。
木質化した部分で切ると、そこから枝が枯れ込んでしまい、回復が難しくなります。
剪定しすぎない
一度にすべての枝を大きく切りすぎると、株に大きな負担がかかり、最悪の場合枯れてしまいます。
特に真夏や真冬は、株が弱っているため、剪定は避けるべきです。
清潔なハサミを使う
剪定ばさみが汚れていると、病原菌が切り口から侵入し、病気を引き起こす可能性があります。
使用前には、ハサミをきれいに拭き、消毒しておきましょう。
ローズマリーの地植え管理術と植え付けのコツ
ローズマリーは地植えにすると、その生命力の強さから、後悔するほど広がりすぎてしまうことがあります。
しかし、正しい植え付けのコツとお手入れ方法を知っておけば、その心配は大きく軽減されます。
- ローズマリー植え付け時のポイント
- ローズマリーの普段のお手入れ
- ローズマリーの病害虫対策
この3つを下記で詳しくご紹介いたします。
ローズマリー植え付け時のポイント
植え付け場所の選び方
- 日当たりと風通し:ローズマリーは、地中海沿岸を原産とするため、日当たりと風通しの良い場所を好みます。湿気がこもる場所は、病害虫の原因となるため避けましょう。
- 水はけの良い土壌:多湿に弱いため、水はけの良い土壌が必須です。粘土質の土壌の場合は、川砂や腐葉土、軽石などを混ぜて水はけを改善しましょう。
- 将来の大きさを考慮する:品種によって大きさが大きく異なります。特に立性の品種は樹木のように成長し、匍匐性の品種は地面を這うように広がるため、周囲のスペースを十分に確保することが大切です。他の植物との距離も考慮しましょう。
土づくり
- ローズマリーは不毛の土地でも育ちますが、植え付け前に土壌改良を行うと生育がよくなります。腐葉土や堆肥をすき込んで、土を耕しておきましょう。
- ローズマリーは弱アルカリ性の土壌を好みます。土壌が酸性に偏っている場合は、苦土石灰などを少量混ぜて調整すると良いでしょう。
ローズマリーの普段のお手入れ
水やり
- 地植えの場合、基本的に水やりは不要です。 根が深く張るため、自然の降雨だけで十分です。
- ただし、植え付け直後や、極端に乾燥した日が続く真夏には、朝や夕方の涼しい時間帯に水やりをしてください。
肥料
- ローズマリーは、やせた土地でもよく育つため、多量の肥料は必要ありません。
- 植え付け時に元肥として緩効性肥料を少量施す程度で十分です。
- 肥料を与えすぎると、葉が固くなったり、花つきが悪くなったりすることがあるので注意しましょう。
ローズマリーの病害虫対策
予防が肝心
- 風通しを良くする:株が密生すると、内部が蒸れて病気の原因になります。定期的な剪定で風通しを確保しましょう。
- 日当たりを確保する:日当たりが悪い場所では、株が弱り、病害虫が発生しやすくなります。
発生しやすい病害虫と対策
- うどんこ病:葉が白い粉をまぶしたようになる病気です。多湿が原因で発生しやすいため、風通しを良くすることが最大の予防策です。発生してしまった場合は、病気の葉を取り除き、重曹水や食酢を薄めたものを散布すると効果があります。
- ハダニ:葉の裏に付着し、栄養を吸汁します。乾燥した環境で発生しやすいため、葉の裏に霧吹きなどで葉水をかけると予防になります。
- アブラムシ:新芽や茎に集団で発生します。見つけたら、歯ブラシなどでこすり落とすか、牛乳を薄めたものを散布すると効果があります。
ローズマリーを地植えして理想の庭を作る
ローズマリーは地植えにすると大きく広がる性質を活かせば、理想の庭づくりに役立てることができます。
ただ、やみくもに植えるのではなく、その特性を理解して賢く使うことが大切です。
グランドカバーとして活用する
匍匐性のローズマリーは、地面を這うように広がるため、グランドカバーとして最適です。
- 雑草対策になる:ローズマリーが地面を覆い隠すことで、雑草が生えるスペースをなくし、手入れの手間を減らすことができます。
- 美しい景観を作る:生い茂ったローズマリーは、緑のじゅうたんのように見え、景観を美しく彩ります。開花期には青や紫、ピンクの花が咲き、さらに華やかになります。
- 傾斜面や法面にも:地中を這うように根を張るため、土の流出を防ぐ効果もあります。庭の斜面や土手に植えることで、緑化と土壌保全の両方を実現できます。
他の植物と組み合わせる
ローズマリーは単体で植えるだけでなく、他の植物と組み合わせることで、より魅力的な庭を演出できます。
- 相性の良い植物:バラやラベンダー、セージ、タイムなど、同じく日当たりと水はけの良い環境を好む植物と相性が良いです。特にバラと一緒に植えると、病害虫予防になるとも言われています。
- 高低差を活かす:直立に成長するローズマリーを生垣や背景にして、手前に地面を這うように横に広がるローズマリーを植えることで、高低差のある立体的な植栽が楽しめます。
- コントラストを楽しむ:葉の色や形、花の時期が異なる植物と組み合わせることで、年間を通して変化に富んだ庭になります。例えば、シルバーリーフの植物や、鮮やかな色の花を咲かせる植物と合わせると、お互いを引き立て合います。
鉢植えや寄せ植えとの使い分け
地植えで広がりすぎるのが心配な場合や、様々な場所に飾りたい場合は、鉢植えや寄せ植えを活用するのがおすすめです。
- 鉢植えのメリット:好きな場所に移動できるのが最大のメリットです。日当たりの良い場所に置いたり、雨の多い時期には軒下に移動させたりと、環境に合わせて管理できます。また、剪定や収穫もしやすいため、より手軽に楽しめます。
- 寄せ植えのポイント:ローズマリーは成長が早いため、寄せ植えにする際は、他の植物の生育を邪魔しないよう、株の間に十分なスペースを確保しましょう。また、多湿に弱いので、水はけの良い土を選ぶことが重要です。
- 地植えと鉢植えの使い分け:広々とした庭でダイナミックな景観を作りたい場合は地植え、ベランダや玄関先など、スペースが限られている場所で楽しみたい場合は鉢植えにするなど、目的に応じて使い分けるのが賢い方法です。
まとめ
ローズマリーを地植えすると広がる?後悔しないための剪定と管理術をご紹介しました。
ローズマリーをたくさん育てたい。
そう思って地植えで育てると予想以上に広がり過ぎてしまいます。
そんなローズマリーが地植えでも広がり過ぎないようにするために、適切に管理できるようにご紹介した剪定方法と管理術が、皆さんに少しでもお役に立てば幸いです。
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