紫色の綺麗なハーブで有名なラベンダーですが、このラベンダーには虫よけの効能もあることをご存じでしょうか。
蜜や花粉を提供する花や、特定の匂いを好む虫がいるハーブには、虫が引寄せられます。
ラベンダーも同様に虫を引寄せるハーブです。
では、なぜ虫よけの効能があるとお伝えしたのか。
それは、ラベンダーの種類と虫の種類によっては、虫よけの効能もあれば誘因作用もあるからなんです。
そこで、ラベンダーに寄って来る虫の種類や虫よけ対策の方法をご紹介します。
なぜラベンダーに虫が寄ってくるのか?
ラベンダーに虫が寄ってくる理由は
- ラベンダーの香り
- ラベンダーの色
- ラベンダーの蜜
の3つがあります。
それぞれの理由をご紹介します。
ラベンダーの香り
多様な成分
ラベンダーの香りは、リナロール、酢酸リナリル、シネオールなど、多くの芳香成分の複雑な組み合わせによって構成されています。
これらの成分は、虫の種類によって異なる反応を引き起こします。
虫の嗅覚
多くの虫は、花の匂いを頼りに蜜源を探します。
ラベンダーの甘い匂いは、一部の虫にとっては魅力的なサインとなり、集まってくる可能性があります。
品種による違い
ラベンダーの品種によって、匂いの組成が異なります。
そのため、ある品種には多くの虫が集まる一方で、別の品種にはほとんど虫が寄らないという場合もあります。
ラベンダーの色
紫色の魅力
ラベンダーの花の色は、多くの昆虫にとって視覚的なサインとなります。
特に、ミツバチは紫色の花によく集まることが知られています。
蜜標
ラベンダーの花には、蜜がある場所を示す「蜜標」と呼ばれる模様があります。
この蜜標は、紫外線でよく見えるため、昆虫が蜜を効率的に見つける手助けをしています。
ラベンダーの蜜
蜜の成分
ラベンダーの蜜は、糖分だけでなく、アミノ酸やビタミンなどの栄養素も含まれています。
これらの栄養素は、昆虫の成長や繁殖に不可欠です。
蜜の量
ラベンダーの蜜の量は、品種や生育環境によって異なります。
蜜が多い品種ほど、多くの虫が集まる傾向があります。
ラベンダーの種類による虫への効果の違い
ラベンダーの虫への効果の違い
- 虫がつきやすい種類
- 虫がつきにくい種類
2つを、それぞれ詳しくご紹介します。
虫がつきやすい種類
フレンチラベンダー(ラバンデュラ・ストエカス)
ウサギの耳のような苞葉が特徴的で、可愛らしい見た目をしています。
香りはカンファー調が強く、ややスッキリしています。
虫がつきやすい理由
・アブラムシ:イングリッシュラベンダーなどに比べると、香りの強さがやや穏やかなためか、アブラムシが比較的つきやすいという意見があります。特に春先から初夏にかけての新芽や蕾に注意が必要です。
・ハダニ:乾燥した環境下では、ハダニが発生することがあります。葉の裏に小さな赤い点のようなものがついていたり、葉の色が悪くなったりする場合は注意が必要です。
・ヨトウムシ:柔らかい新芽や葉を食害されることがあります。
レースラベンダー(ラバンデュラ・ピンナータ)
羽のような切れ込みのある繊細な葉が特徴的で、観賞価値が高いラベンダーです。
虫がつきやすい理由
・アブラムシ:葉が細かく茂っているため、風通しが悪くなりやすく、アブラムシが発生しやすい傾向があります。
・コナジラミ:温室などで栽培されることが多く、コナジラミが発生しやすい環境に置かれることがあります。
虫がつきにくい種類
真正ラベンダー(ラバンデュラ・アングスティフォリア)
最も一般的で、アロマテラピーなどにも広く利用されるラベンダーです。
甘くフローラルな香りが特徴で、花穂は細長く、葉は細葉です。
虫がつきにくい理由
・強い香り:真正ラベンダーは、リナロールや酢酸リナリルなどの芳香成分を豊富に含んでおり、これらの成分が多くの害虫にとって忌避効果を発揮すると考えられています。
・丈夫な性質: 一般的に比較的丈夫で育てやすく、環境への適応力も高いため、株が弱りにくく、病害虫の被害を受けにくい傾向があります。
ラバンジンラベンダー(ラバンデュラ・インテルメディア)
真正ラベンダーとスパイクラベンダーの自然交雑または人工交配によって生まれたハイブリッド品種です。
真正ラベンダーよりも大きく育ち、花穂も長く、香りはより強く、カンファー調が混じっています。
虫がつきにくい理由
・非常に強い香り:真正ラベンダーよりもさらに強い香りを放つため、多くの害虫にとってより強い忌避効果を発揮すると考えられます。カンファーや1,8-シネオールなどの成分も含まれるため、広範囲の害虫に対して効力が期待できます。
・丈夫な性質: ハイブリッド種であるため、一般的に非常に丈夫で育てやすく、病害虫にも強い傾向があります。
ラベンダーに虫が寄ってくるのを防ぐ対策5選
ラベンダーに虫が寄ってくるのを防ぐ対策5選
- ラベンダーの種類を選ぶ
- コンパニオンプランティング(共生栽培)
- ラベンダーの花をこまめに摘み取る
- 天敵となる虫を呼び寄せる
- 殺虫剤を使用する
の5つがあります。
それぞれの対策をご紹介します。
ラベンダーの種類を選ぶ
ラベンダーにはさまざまな種類があり、それぞれ匂いの強さや成分が異なります。
一般的に、以下の種類のラベンダーは防虫効力が高いとされています。
真正ラベンダー
最も一般的なラベンダーで、蛾や蚊等の虫除け効力が高いとされています。
また、リナロールの匂いが穏やかで、リラックス作用もあります。
ラバンジンラベンダー
真正ラベンダーとスパイクラベンダーの交配種で、リナロールやカンファーという成分を多く含み、蛾や蚊等の防虫力があります。
匂いが強く、庭植えに適しています。
スパイクラベンダー
カンファーを多く含み、蚊やハエ等の防虫効力が非常に高いとされています。
匂いがやや刺激的なので、好みが分かれるかもしれません。
コンパニオンプランティング(共生栽培)
ラベンダーの近くに異なる種類の植物やハーブを植えることで、互いに良い影響を与え合う栽培方法です。
この相互作用を利用することで、害虫の忌避、病気の予防、生育の促進、雑草の抑制など、様々な効力が期待できます。
ラベンダーの花をこまめに摘み取る
ラベンダーの花をこまめに摘み取ることで、風通しを改善し、株を活性化させ、早期の異変発見につながります。
さらに、間接的に害虫の発生を抑制したり、被害を軽減することが期待できます。
天敵となる虫を呼び寄せる
テントウムシやオオハナバチなどの天敵は、害虫を捕食してくれます。
天敵が住みやすい環境づくりをしましょう。
また、天敵を呼び寄せるまでには時間がかかる場合があります。
環境によっては、期待通りの結果が得られないこともあります。
特定の天敵だけを増やそうとすると、生態系のバランスが崩れる可能性もあります。
多様な天敵が生息できる環境を目指しましょう。
殺虫剤を使用する
どうしても被害がひどい場合は、殺虫剤などの薬剤を使用するのも一つの方法です。
ただし、環境に負荷を与える可能性があるため、最後の手段として使用することをおすすめします。
ラベンダーを虫除けとして活用する際の注意点
ラベンダーには、蚊やハエ、ガなどの虫よけの効能が見込めます。
しかし、ラベンダー単体では虫よけの効能を期待するのは難しいです。
ラベンダー単体では虫よけの効き目が不十分な理由と、ラベンダーの虫よけを有効的に活用する方法を説明いたします。
ラベンダー単体では効果が不十分
効果範囲が狭い
ラベンダーの虫よけの効能は、主にその香り成分であるリナロールなどが揮発することで発揮されます。
しかし、この香りは揮発性が高いため、効能の範囲が限られてしまいます。
また、ラベンダーの株が小さい場合や、植えている数が少ない場合は、効能の範囲が狭くなり、周辺全体を覆うような効能は期待できません。
香りによる作用は限定的
ラベンダーの匂いが全ての虫に対して効き目があるわけではありません。
蚊やハエなど、特定の虫種に対しては効能があるものの、他の虫種には効き目がない場合もあります。
長期間同じ匂いにさらされると、虫がその匂いに慣れてしまい、効能が薄れてしまう可能性があります。
天候や時間帯の影響
風が強い日は、ラベンダーの匂いが拡散しやすく、効能が薄まることがあります。
気温が高い日は、匂いの揮発が活発になり、効力が見込めますが、逆に気温が低い日は、揮発が抑えられて効力が弱まることがあります。
昼間よりも夜間の方が、虫の活動が活発になるため、効能が実感しにくい場合があります。
香りの濃度
ラベンダーの生育状態や、剪定のタイミングなどによって、香りの濃度が変化します。
日当たりや風通しなど、栽培環境によっても濃度が変化します。
ラベンダーの精油を直接使用する場合、濃度が濃すぎると、かえって虫を刺激してしまう可能性があります。
ラベンダーの虫除けを効果的に活用する方法
他の虫除けと併用する
市販の虫よけ剤と虫よけスプレーを併用することで、より広範囲で長時間効能が見込めます。
また、虫が嫌うカモミール、ペパーミント、ユーカリなどのハーブを一緒に植えることで、相乗効果が見込めます。
天然の精油(シトロネラ、レモングラスなど)を配合した虫よけ剤と併用することで、体に優しい虫よけも可能です。
複数株をまとめて育てる
ベランダや庭に、ラベンダーを数株まとめて植えることで、より有効的に虫を寄せ付けない空間を作ることができます。
異なる品種のラベンダーを組み合わせることで、開花時期や匂いの種類が変わり、より長い期間、防虫効果が見込めます。
適切なタイミングで使用する
ラベンダーは開花時期に最も匂いが強く、防虫効果も高いです。
夜間は虫が活発に活動するため、夜寝る前にラベンダーの匂いを部屋に漂わせることで、より効力を発揮します。
ラベンダーの香りを楽しむ
ラベンダーは、その美しい見た目と心地よい香りだけでなく、自然の力で虫を遠ざける効力も期待できる、非常に魅力的なハーブです。
ラベンダーの匂いを楽しみながら虫よけ対策をする方法はいくつかあります。
ラベンダーの香りを楽しむ方法
アロマディフューザー
アロマディフューザーを使って、ラベンダー精油を拡散する方法です。
数滴の精油を水に垂らすだけで、部屋全体にラベンダーの匂いが広がります。
アロマスプレー
ラベンダー精油と無水エタノールを混ぜて、アロマスプレーを作ることができます。
水で薄めてスプレーすることで、衣服やリネン類にラベンダーの匂いをつけられます。
ラベンダーティー
ラベンダーの花を乾燥させたラベンダーティーは、匂いとともにリラックスタイムや就寝前にぴったりのハーブティーです。
サシェ
ラベンダーのドライフラワーを布袋に入れてサシェを作ることができます。
クローゼットや引き出しに入れておくと、防虫や芳香が見込めます。
アイピロー
ラベンダーのドライフラワーをアイピローに入れて、目を温めながらラベンダーの匂いを楽しむことができます。
ラベンダーの香りのいろんな効果
ラベンダーの香りには、リラックス、睡眠、ストレス緩和など、心身に様々な効能をもたらすことが期待できます。
リラックス効果
ラベンダーの香りは、副交感神経を優位にし、心身をリラックスさせる効力があります。
これは、脳波をリラックス状態であるα波に変化させることによって、緊張や不安を和らげ、心身のリラックス作用をもたらします。
睡眠効果
ラベンダーの匂いは、穏やかに心身をリラックスさせ、自然な眠りを誘う効能が期待できるため、心地よい睡眠を得るための有効な手段の一つと言えます。
リラックス作用によって寝つきを良くし、深い眠りを促すことによって、睡眠の質向上が見込めます。
ストレス緩和効果
ラベンダーは、その優しい香りと多岐にわたる効能によって、現代社会における様々なストレスを緩和するための自然なアプローチとして、幅広く活用されています。
日常生活に上手に取り入れることで、心身のバランスを整え、より穏やかな毎日を送るサポートとなるでしょう。
注意点
ラベンダーの匂いは、一般的に安全性が高いですが、妊娠中や授乳中の方、小さなお子様は使用前に医師に相談することをおすすめします。
また、ラベンダーの匂いに過敏な方は、使用を控えてください。
ラベンダーの香りと虫よけ対策を組み合わせる
ラベンダーの香りを楽しむ方法と虫よけ対策を組み合わせることで、リラックス&防虫効果を同時に得ることができます。
- 寝室にアロマディフューザーを設置して、ラベンダー精油を拡散する。
- ラベンダーのアロマスプレーを作って、衣服やリネン類にスプレーする。
- ラベンダーのドライフラワーをサシェにして、クローゼットや引き出しに入れる。
まとめ
ラベンダーは多くの虫にとって忌避効果を持つ香りも含んでいますが、虫の種類によっては虫を引寄せる誘因の作用もあります。
ラベンダーで虫よけをするためには、適切な種類を選び、最適な方法で使用することが重要です。
また、ラベンダー以外にもできる対策を併用することで、より有効的に虫を遠ざけることができます。
ラベンダーには精神安定や、睡眠・ストレスの緩和が期待できるので、虫よけ対策だけでなく、ぜひ心身のリフレッシュにも役立てて頂きたいと思います。
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