ラベンダーを種から育てるのは難しい、という声をよく聞きます。
確かに、苗から育てるよりも手間がかかり、発芽率が低いこともあります。
ですが、いくつかのコツさえ押さえれば、初心者でも高い発芽率で育てることが可能です。
ここでは、ラベンダーを種から育てるのはなぜ難しいのか、その原因や対処法と発芽率を上げるテクニックをご紹介いたします。
ラベンダーを種から育てるのが難しいと言われる理由
ラベンダーを種から育てるのは、難しいと感じる方もいるかもしれません。
しかし、種まきがうまくいかない主な原因と、その解決策を理解すれば、初心者でも発芽率をぐっと上げることができます。
ラベンダーの種まきが難しいと言われる主な理由は
- 休眠打破(休眠期)の必要性
- 発芽後の繊細な管理
の2つがあります。
それぞれの内容を詳しく説明いたします。
休眠打破(休眠期)の必要性
ラベンダーの種には、厳しい冬を乗り越えて春に発芽するための「休眠」という性質があります。
これは、発芽に適さない時期に芽を出してしまうのを防ぐための、植物の知恵です。
もし、夏の間に種が地面に落ちたとしても、すぐに芽を出してしまうと、冬の寒さに耐えられずに枯れてしまいます。
そのため、種は「冬の寒さを体験してから、暖かくなったら芽を出す」というメカニズムを備えているのです。
この「冬の寒さを体験する」というプロセスを人為的に行い、種に発芽を促すことが「休眠打破」です。
具体的には、種を湿らせた状態で冷蔵庫に数週間入れるなどして、低温にさらします。
このステップを省略すると、種は発芽の準備をしないままなので、どれだけ適切な環境を整えても、ほとんど芽が出ないという結果になってしまいます。
これが、ラベンダーの種まきが難しいと言われる大きな理由の一つです。
発芽後の繊細な管理
無事に種が発芽しても、その後の管理もまた繊細さが求められます。
水やりの難しさ
苗が小さいうちは、根がまだ十分に発達していません。
この時期に水をやりすぎると、根腐れを起こしやすくなります。
逆に水が少なすぎると、すぐに乾燥して枯れてしまいます。
土の表面が乾いたら霧吹きで優しく水をやるなど、適切な湿度を保つための注意が必要です。
温度管理
ラベンダーは高温多湿を苦手とします。
発芽したばかりの小さな苗は特にデリケートで、急激な温度変化や蒸れに弱いです。
風通しの良い場所に置き、適度な温度を保つことが重要です。
日照条件
日当たりを好む植物ですが、発芽直後の小さな苗を強い直射日光に当てると、葉が焼けてしまうことがあります。
発芽後は、半日陰の場所で徐々に日光に慣れさせていく必要があります。
このように、ラベンダーの種まきは、まず発芽のための特別な準備(休眠打破)が必要であり、さらに発芽後もデリケートな管理が求められるため、初心者には難しく感じられがちです。
ラベンダー種から育てる発芽率を上げる2つのテクニック
初心者でもラベンダーの発芽率を上げる2つの重要なテクニック
- 冷蔵庫で「冬」を体験させる休眠打破
- 発芽に最適な温度と湿度をキープする
の2つがあります。
それぞれの内容を詳しく解説いたします。
冷蔵庫で「冬」を体験させる休眠打破
ラベンダーの種には、発芽に不向きな時期をやり過ごすために、一定期間の低温を経験しないと芽を出さないという性質があります。
これを休眠と呼び、人工的に低温を与えることで発芽を促すことを休眠打破と言います。
このステップを踏むことで、発芽率が格段に向上します。
具体的な手順
- 種を湿らせる:種を水に一晩浸すか、湿らせたキッチンペーパーで包みます。種が吸水することで、休眠打破がスムーズに行われます。
- 冷蔵庫に入れる:湿らせた種をジップロックや密閉できる容器に入れ、冷蔵庫の野菜室に入れます。
- 低温処理:この状態で、品種にもよりますが、約1ヶ月ほど低温にさらします。
この作業を行うことで、種は「寒い冬が終わった」と認識し、発芽の準備を始めます。
発芽に最適な温度と湿度をキープする
休眠打破を終えた種は、発芽に適した環境を整えてあげる必要があります。
特に重要なのが、温度と湿度の管理です。
発芽に適した温度
ラベンダーの発芽に適した温度は、15℃〜20℃とされています。
この温度帯を保つことで、発芽が促進されます。
- 温度が高すぎる場合:種が腐敗したり、徒長(ひょろひょろと弱く伸びてしまうこと)の原因になります。
- 温度が低すぎる場合:発芽に時間がかかったり、発芽しなかったりします。
失敗しない水やり方法と湿度管理
- 水やりのタイミング:土の表面が乾いたら、霧吹きなどで優しく水をやります。常に土が湿っている状態を保つことが重要ですが、水を与えすぎると根腐れの原因になるため注意が必要です。
- 湿度:発芽までの間は、適度な湿度を保つことが大切です。育苗箱の上にラップやビニール袋をかぶせて保湿するのも効果的です。ただし、時々換気をして、蒸れを防ぐようにしましょう。
ラベンダーを種から育てる失敗しない種まき手順
ラベンダーを種から育てる際の、失敗しない種まき手順をわかりやすく解説いたします。
必要な道具と材料を揃えよう
ラベンダーの種まきを始める前に、以下のものを準備しておきましょう。
市販の「種まきセット」などを活用するのもおすすめです。
- ラベンダーの種:好みの品種を選びます。種は新しいものほど発芽率が良いです。
- 育苗ポットまたは育苗箱:種をまくための小さな容器です。底に穴が開いていて、水はけが良いものを選びましょう。
- 種まき用土:清潔で水はけの良い専用の土が最適です。一般的な培養土よりも肥料分が少なく、発芽に適しています。
- ピンセット:小さな種を扱う際に便利です。
- ラベル:品種名や種まき日を記録します。
- 霧吹き:種や小さな苗に優しく水を与えるために使います。
種まきに最適な時期と場所
ラベンダーの種まきは、季節と場所選びが成功のカギを握ります。
最適な時期
ラベンダーの種まきに最適な時期は、春(3月下旬〜5月)か、秋(9月〜10月)です。
この時期は気温が安定しており、発芽に適した15〜20℃の温度を保ちやすいため、自然の力を借りて発芽を促すことができます。
置き場所
発芽するまでは、直射日光が当たらない明るい場所に置きます。
窓辺のレースカーテン越しの日光が当たる場所などが理想的です。
強い日差しは土を急激に乾燥させ、発芽の妨げになります。
また、風通しが良い場所を選ぶことも大切です。
種まき実践
具と環境が整ったら、いよいよ実践です。
- 土の準備:育苗ポットに種まき用土を8分目まで入れ、水をたっぷり与えて湿らせておきます。土が湿ることで、種まき後の水の浸透がよくなります。
- 種をまく:ピンセットを使い、1つのポットに2〜3粒の種をまきます。ラベンダーの種は発芽に光が必要なため、土はごく浅く、うっすらとかぶせる程度にします。深く埋めすぎないように注意しましょう。
- 水やり:種をまいたら、土の表面が乾かないように霧吹きで優しく水をやります。ジョウロを使うと種が流れてしまう可能性があるため、発芽までは霧吹きが安心です。
これらの手順を守ることで、初心者の方でもラベンダーの種まきを成功させることができます。ぜひ、挑戦してみてください。
ラベンダーが種から発芽しない原因と対処法
ラベンダーの種が発芽しない原因はいくつか考えられますが、主に以下の3つが挙げられます。
それぞれの原因と対処法を詳しく見ていきましょう。
休眠打破が不十分だった
ラベンダーの種には、寒い冬を経験してからでないと発芽しない性質を持つものがあります。
この「休眠」状態を終わらせることを「休眠打破」と呼びます。
このプロセスが不十分だと、種は発芽の準備ができていないため、いつまで経っても芽を出しません。
対処法
発芽しなかった種を、もう一度低温にさらして休眠打破を促してみましょう。
- 種を土から優しく取り出し、湿らせたキッチンペーパーで包みます。
- ジップロックなどの密閉できる袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で約1ヶ月保管します。
- 再度、種まきの適期(春か秋)に種をまきます。
温度や水分管理が適切ではなかった
発芽には、適度な温度と湿度が欠かせません。
温度が高すぎたり低すぎたり、土が乾燥しすぎたり、逆に水を与えすぎて蒸れたりすると、発芽する前に種がダメになってしまいます。
対処法
種まき後の環境を再度見直してみましょう。
- 温度:ラベンダーの発芽に適した温度は15〜20℃です。温度計を置いて管理し、この温度帯を保てる場所に置きましょう。
- 水分:土の表面が乾いたら、霧吹きなどで優しく水をやります。常に土が適度に湿っている状態をキープすることが大切です。
- 蒸れ:育苗箱をビニールで覆っている場合は、時々換気をして蒸れを防ぎましょう。
種まきの深さが不適切だった
ラベンダーの種は非常に小さく、発芽には光が必要な好光性種子です。
種を深く埋めすぎてしまうと、光が届かず発芽できません。
対処法
もし種を深く埋めてしまった場合は、土の表面を少し掘り起こして種を浅くし、うっすらと土をかぶせる程度に調整してみましょう。
これらの原因と対処法を参考に、ぜひもう一度ラベンダーの種まきに挑戦してみてください。
ラベンダーが種から発芽した後の育成方法
ラベンダーの種が無事に発芽したら、ここからが本格的な育成の始まりです。
小さな苗を元気に大きく育てるためのポイントを、ステップごとにご紹介します。
ステップ1:間引きのタイミングと方法
苗が本葉を2〜3枚つけたら、元気な苗を1つだけ残して他を間引きます。
- なぜ間引きが必要?:1つのポットに複数の苗があると、栄養や光を奪い合ってしまい、全ての苗が弱ってしまいます。元気な苗を1つに絞ることで、その苗に栄養が集中し、丈夫に育ちます。
- 間引きの方法:ピンセットやハサミを使い、根元から切り取るように間引きます。無理に引き抜くと、残す苗の根を傷つけてしまう可能性があるので注意しましょう。
ステップ2:水やりと日照の管理
発芽後の水やりと置き場所は、特に慎重な管理が求められます。
- 水やり:土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えます。ただし、ラベンダーは過湿を嫌うため、常に土が湿っている状態は避けてください。
- 日照:本葉が数枚出たら、少しずつ日光に慣れさせていきます。初めは午前中の柔らかい日差しに当て、徐々に日当たりの良い場所に移動させましょう。ラベンダーは日当たりを好む植物なので、日照不足は生育不良の原因になります。
ステップ3:植え替えの時期と方法
苗がポットの中で窮屈そうになったら、植え替えのタイミングです。
- 植え替えの目安:本葉が4〜5枚になり、苗の根がポットいっぱいに回ってきたら、より大きな鉢や庭に植え替えを行います。
- 植え替えの方法:根を傷つけないようにポットから優しく抜き、一回り大きな鉢に植え替えます。この時、土はラベンダー専用の、水はけの良いものを使用しましょう。
まとめ
ラベンダー種から育てるのは難しい?初心者でも発芽率UPテクニックの方法をご紹介いたしました。
先入観で、ラベンダーを種から育てるのが難しいと思っていた人もいたのではないでしょうか。
たしかに一般的な草花に比べると育てるのが難しいかもしれません。
ですが、ここでご紹介したように、適切な方法で育成することで初心者の方でも、ラベンダーを種から育てることが出来るとお分かりいただいたと思います。
この機会にぜひ一度、ラベンダーを種から育ててみて下さいね。
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