ラベンダー畑を作ってみたい。
そう思ってお庭にラベンダーを植える人も多いと思います。
ラベンダーは香りも良く人気のあるハーブですが、育て方が少し難しいという声も聞かれます。
実は、ラベンダーが枯れる原因はいくつかあり、原因によって対処法が異なります。
この記事では、ラベンダーが枯れる原因と、復活させる5つの方法をご紹介します。
ラベンダーが枯れる原因
ラベンダーが枯れる原因
- 水やり
- 日光不足
- 根腐れ
- 病害虫
- 剪定のしすぎ
の5つがあります。
それぞれの内容を確認して下さい。
水やり
水のやりすぎの根腐れ
土壌の酸素不足すると常に土が湿った状態だと、土の粒子間の隙間が水で満たされ、根が呼吸に必要な酸素を十分に吸収できなくなります。
酸素不足の状態が続くと、根の細胞が傷つき、正常な機能を失います。
やがて根は腐敗し、水分や養分を吸収できなくなります。
水のやらなすぎの水切れ
土が極度に乾燥すると、植物体内の水分が不足し、脱水状態になります。
水分不足により、光合成などの生育に必要な機能が正常に働かなくなります。
日光不足
ラベンダーは日光を浴びて光合成を行い、生育に必要なエネルギーを作り出します。
日光不足では光合成が十分に行えず、エネルギー不足となり、徐々に株が衰弱していきます。
光を求めて茎が細長く伸びる徒長が発生し、茎は軟弱で折れやすく、株全体の風通しも悪くなるため、病害虫のリスクが高まります。
十分な日光がないと、葉の色が悪くなったり、生育が停滞したりします。
日当たり不足は湿度を高め、風通しを悪くするため、灰色かび病などの病気が発生しやすくなります。
ラベンダーは1日に6時間以上の直射日光を好みます。
日光不足は、株の生育不良を招き、最終的には枯れてしまう原因となります。
室内で育てる場合は特に、日当たりの良い場所に置くか、植物育成用ライトを使用するなどして、十分な光を確保することが重要です。
根腐れ
ラベンダーが枯れる主な原因の一つである根腐れは、根が長時間過湿状態に置かれることで発生します。
過剰な水やりが最も一般的な原因で、土の表面が乾かないうちに頻繁に水を与えると、土壌中の水分が過剰になり、根が常に湿った状態に置かれます。
水持ちが良すぎる土を使用すると、水やり後や降雨後に土壌が長時間水を含んだ状態になりやすく、根が呼吸困難に陥ります。
日本の梅雨時期や長雨など、降水量が多い時期は、屋外のラベンダーが過湿状態になりやすく、根腐れのリスクが高まります。
風通しが悪いと、土壌の水分が蒸発しにくく、過湿状態が長く続くことがあります。
また、長年植え替えをしていない鉢植えのラベンダーは、根が鉢いっぱいに張り、水はけが悪くなることがあります。
病害虫
ラベンダーは比較的病害虫に強い植物とされていますが、生育環境が悪化したり、特定の病害虫が発生したりすると、株が弱り、最悪の場合枯れてしまうことがあります。
ラベンダーが枯れる病害虫の原因は、主に以下の通りです。
病気
- 灰色かび病: 高温多湿で発生、灰色のカビで腐敗。
- 立ち枯れ病: 土壌菌で株元から枯れる。
- うどんこ病: 葉に白い粉状のカビ。
- 根腐れ病: 過湿で根が腐敗(病原菌も関与)。
害虫
- アブラムシ/ハダニ/カイガラムシ: 汁を吸い、生育阻害、病気誘発。
- ヨトウムシ: 葉や蕾を食害。
- ネキリムシ: 株元の茎を食害し、苗を枯らす。
剪定のしすぎ
ラベンダーが剪定のしすぎで枯れる主な原因は、株への過度な負担と生理機能の低下です。
剪定は、ラベンダーの風通しを良くしたり、株の形を整えたり、花つきを良くするために必要な作業ですが、やりすぎは逆効果です。
ラベンダーの種類や生育状況に合わせて、適切な時期に、適切な量を剪定することが、株を健康に保ち、枯れを防ぐための重要なポイントです。
ラベンダーが枯れる!復活させる5つの方法
まずはラベンダーが枯れる原因を特定する必要があります。
原因を特定したうえで、ラベンダーを復活させる5つの方法を試して下さい。
- 水やりの見直し
- 日当たりの改善と風通しの確保
- 適切な土への植え替えと根の整理
- 病害虫の駆除と対策
- 適切な剪定
それぞれの方法をご紹介します。
ラベンダーが弱ってしまったり、枯れかけていたりする状態から復活させるための方法は、その原因によって異なります。
そのため、まずはラベンダーがどのような理由で元気がないのかを特定することが非常に重要です。
ラベンダーが枯れる原因・不調を特定する方法
以下の点を観察し、ラベンダーの不調の原因を探りましょう。
- 葉の状態:
- 黄色や茶色に変色しているか?
- しおれているか、ぐったりとしているか?
- 葉先が枯れているか?
- 葉に斑点やカビのようなものが付着していないか?
- 葉が落ちやすいか?
- 茎の状態:
- 茎が柔らかくなっている部分はないか?
- 茎が折れやすいか?
- 茎に虫食いの跡はないか?
- 土の状態:
- 表面だけでなく、鉢の中全体が常に湿っていないか?(根腐れの可能性)
- 極端に乾燥していないか?(水切れの可能性)
- 嫌な臭いがしないか?(根腐れの可能性)
- 根の状態(可能であれば):
- もし鉢から取り出せるようであれば、根の色や状態を確認します。健康な根は白っぽいですが、茶色く変色してブヨブヨしている場合は根腐れの可能性が高いです。
- 栽培環境:
- 日当たりは十分か?(1日に6時間以上)
- 風通しは良いか?
- 最近水やりの頻度や量を変えたか?
- 最後に植え替えをしたのはいつ頃か?(根詰まりの可能性)
- 害虫が発生していないか?(アブラムシ、ハダニなど)
- 最近肥料を与えたか?(肥料焼けの可能性)
- 剪定は適切に行われているか?(剪定のしすぎの可能性)
これらの観察結果から、ラベンダーの枯れる原因・不調を特定し、適切な復活方法を試しましょう。
水やりの見直し
水のやりすぎが原因の場合
水やりの頻度を減らし、土の表面が完全に乾いてからたっぷりと与えるようにします。
鉢底に水が溜まっている場合は必ず捨ててください。風通しの良い場所に移動させるのも有効です。
水切れが原因の場合
鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水を与えます。
ひどく乾燥している場合は、バケツなどに水を張り、鉢ごと数時間浸けて吸水させる「底面給水」を試すのも有効です。
その後は、土の表面が乾いたら水を与えるように管理します。
日当たりの改善と風通しの確保
日当たり不足が原因の場合は、できる限り日当たりの良い場所(1日に6時間以上)へ移動させます。
風通しの悪い場所に置いている場合は、サーキュレーターを利用したり、窓を開けたりして風通しを良くします。
適切な土への植え替えと根の整理
根詰まりが原因の場合や、根腐れが進行している場合は、新しい水はけの良い土に植え替えます。
植え替えの際に、傷んだ根や黒ずんだ根は清潔なハサミで切り取り、根を整理します。
病害虫の駆除と対策
病害虫が発生している場合は、早期に適切な薬剤を使用するか、手で取り除くなどの方法で駆除します。
その後は、風通しを良くするなど、病害虫が発生しにくい環境を作るように努めます。
適切な剪定
風通しを改善するために、混み合った枝や枯れた枝を剪定します。
ただし、弱っている株への過度な剪定は逆効果になることがあるため、株の状態を見ながら慎重に行います。
ラベンダーを枯らさないための予防策
ラベンダーを枯らさないための予防策
- 日常管理のポイント
- 季節ごとの注意点
の2つがあります。
それぞれの内容を確認して下さい。
日常管理のポイント
ラベンダーを元気に育て、枯らさないためには、日々の管理が重要です。
特に、日当たりと風通しの確保、適切な剪定、株元の清掃とマルチングは、ラベンダーの健康を保つ上で欠かせない要素です。
それぞれの項目について詳しく解説します。
定期的な日当たりと風通しの確保
ラベンダーは、日光が大好きで、風通しの良い環境を好みます。
これらの条件が不足すると、生育不良や病害虫の発生につながりやすくなります。
日当たりの確保
庭植えの場合は、1日6時間以上、直射日光が当たる場所を選びましょう。
鉢植えの場合は、午前中の日当たりが良く、午後の強い日差しを避けられるような場所が理想的です。
- 季節による調整:
- 春・秋: なるべく長時間、直射日光に当てましょう。
- 夏: 西日が強く当たる場所では、葉焼けを防ぐために半日陰に移動したり、遮光ネットを利用したりするなどの対策が必要です。
- 冬: 日照時間が短くなるため、できるだけ日当たりの良い場所に移動させましょう。室内に取り込む場合は、窓辺など明るい場所に置きます。
- 注意点: 急に強い日差しに当てると、株が傷むことがあります。日陰で育てていた株を日当たりの良い場所に移す場合は、徐々に慣らすようにしましょう。
風通しの確保
密集した場所や、建物の陰など、風が通りにくい場所は避けましょう。
鉢植えの場合は、地面に直接置かず、レンガや鉢台の上に置くなどして、鉢底の通気性を確保することも大切です。
枝葉が茂りすぎると、株の内側の風通しが悪くなりますので、適切な剪定を行うことで、風通しを改善することができます。
梅雨時期は湿度が高くなり、病気が発生しやすくなります。
できるだけ雨の当たらない場所に移動させたり、扇風機などで風を送ったりするのも有効です。
適切な剪定時期と方法
剪定は、ラベンダーの生育を促進し、花つきを良くし、株の寿命を長く保つために重要な作業です。
適切な時期と方法で行うことが大切です。
剪定時期
- 花後(6月~7月): 花が終わったら、花穂の付け根から約5cm下を目安に切り戻します。この剪定は、種を作るのを防ぎ、株の体力を温存し、蒸れを防ぐ効果があります。
- 秋(9月~10月): 冬越しに備えて、株全体の形を整える剪定を行います。枯れた葉や細い枝、込み合っている部分などを整理し、株元から10~15cm程度の高さで切り戻すのが一般的です。ただし、寒冷地では、剪定を控えめにするか、春に行う方が良い場合もあります。
剪定方法
- 道具: 清潔な剪定バサミを使用しましょう。切れ味が悪いと、枝を傷つけて病気の原因になることがあります。
- 切り方:
- 花後剪定: 花穂の下の葉の付け根の少し上で、斜めに切りましょう。
- 秋剪定: 株全体のバランスを見ながら、内側に向かって伸びている枝や、込み合っている枝を根元から切り除きます。残す枝は、翌年の新芽が出ることを考慮して、外側に向いた芽の上で切ると、樹形がまとまりやすくなります。木質化した古い枝は、緑色の葉が出ている部分の上で切るようにしましょう。
注意点
特に春の剪定では、これから伸びる新芽を誤って切ってしまわないように気をつけましょう。
一度に強く切りすぎると、株が弱ってしまうことがあります。
木質化した古い枝には、新しい芽が出にくいことがありますので、剪定する際は緑色の葉が出ている部分を確認してから行いましょう。
株元の清掃とマルチング
株元の環境を整えることも、ラベンダーを健康に育てる上で重要なポイントです。
株元の清掃
- 目的: 病害虫の発生を予防し、風通しを良くするためです。
- 方法:
- 枯れた葉や花びら、雑草などをこまめに取り除くようにしましょう。
- 特に梅雨時期や秋の長雨の後などは、株元が蒸れやすいので注意が必要です。
- 落ち葉などが堆積していると、害虫の温床になることもあります。
マルチング
- 目的:
- 保湿効果: 土壌の乾燥を防ぎ、水やりの頻度を減らすことができます。
- 雑草抑制: 雑草の生長を抑え、株元を清潔に保ちます。
- 泥はね防止: 雨や水やりの際に、土が跳ね返って葉につくのを防ぎ、病気の予防になります。
- 地温の安定: 夏場の地温上昇を抑え、冬場の急激な温度変化を和らげる効果があります。
- 材料:
- 有機物: 腐葉土、ウッドチップ、バークチップなど。これらの材料は、徐々に分解されて土壌改良にもつながります。
- 無機物: 砂利、軽石など。水はけを良くする効果があります。
- 方法:
- 株元から少し離して、2~3cm程度の厚さで敷き詰めます。
- 茎や葉に直接触れないように注意しましょう。
- 注意点:
- 梅雨時期の過湿: マルチング材の種類によっては、梅雨時期に水分を保持しすぎて、株元が過湿になることがあります。有機物のマルチング材を使用する場合は、特に注意が必要です。
- 厚すぎるマルチング: 厚く敷きすぎると、かえって風通しが悪くなることがあります。適切な厚さを保ちましょう。
季節ごとの注意点
ラベンダーを一年を通して元気に育てるためには、季節ごとの気候の変化に合わせた注意が必要です。
春の植え付けから始まり、梅雨の湿度、夏の暑さ、冬の寒さといった各季節特有の管理ポイントを詳しく解説します。
春の植え付けと準備
春はラベンダーの生育が活発になる時期であり、植え付けや植え替えに適した季節です。
植え付け
- 適期: 3月下旬~5月頃が最適です。
- 場所選び: 日当たりと風通しの良い場所を選びましょう。水はけの悪い場所は避け、必要であれば腐葉土やパーライトなどを混ぜて土壌改良を行います。
- 苗の選び方: 葉の色が良く、株元がしっかりとした元気な苗を選びましょう。病害虫の被害がないかも確認します。
- 植え付け方法:
- 庭植えの場合:根鉢よりも一回り大きな植え穴を掘り、底に緩効性肥料を少量施します。根鉢を崩さないように丁寧に植え付け、株元が地面と同じ高さになるように調整します。植え付け後はたっぷりと水を与えます。
- 鉢植えの場合:水はけの良い培養土を使用し、根詰まりを防ぐために少し大きめの鉢を選びます。鉢底に鉢底石を敷き、同様に丁寧に植え付け、水を与えます。
- 植え付け後の管理: 植え付け直後は、直射日光を避け、風通しの良い半日陰で1週間ほど養生します。その後、徐々に日当たりの良い場所に移します。
準備
- 土壌改良: 植え付け前に、苦土石灰や有機肥料を混ぜ込んで、水はけと保肥力のバランスの良い土壌を作っておきましょう。
- 支柱立て(必要に応じて): 背が高くなる品種や、風当たりの強い場所では、倒伏を防ぐために支柱を立てておくと安心です。
- 害虫対策: 春先からアブラムシなどの害虫が発生することがあります。見つけ次第、早めに駆除しましょう。
梅雨時期の湿度対策
梅雨は高温多湿になりやすく、ラベンダーにとって病気や根腐れのリスクが高まる時期です。
風通しの確保が最も重要な対策になります。
鉢植えの場合は、風通しの良い場所に移動させるか、鉢と鉢の間隔を広げましょう。
庭植えの場合も、込み合った枝は剪定して風通しを良くします。
水やりは土の表面が乾いてから、午前中に少量を与えるように心がけましょう。
雨の日や雨上がりは、土が湿っているので水やりは控えめにします。
雨対策は、長雨に当たると土が常に湿った状態になり、根腐れの原因になります。
鉢植えの場合は軒下など雨の当たらない場所に移動させ、庭植えの場合は、株元に水が溜まらないように注意しましょう。
病害虫対策は、高温多湿の環境は、うどんこ病などの病気や、アブラムシ、ヨトウムシなどの害虫が発生しやすい条件です。
定期的に株の状態を観察し、早期発見に努めましょう。
発見した場合は、適切な薬剤で駆除します。
夏の暑さ対策
日本の夏は高温多湿で、ラベンダーにとっては厳しい環境です。
西日が強く当たる場所では、葉焼けを起こすことがあります。
午前中の日差しは十分に当て、午後の強い日差しは遮光ネットを利用したり、半日陰に移動させたりして避けましょう。
引き続き、風通しの良い場所に置くことが重要です。
水やりは生育が鈍くなるため、水やりは控えめにします。
土の表面が乾いてから、涼しい時間帯(早朝か夕方)に与えましょう。
日中の暑い時間帯の水やりは、土が蒸れて根を傷める原因になります。
梅雨明け後も、湿度が高い日が続くことがありますので、風通しを確保し、蒸れないように注意しましょう。
夏の暑さで株が弱っているときは、追肥は控えましょう。
剪定(花後)は 、開花が終わった花穂は早めに切り戻すことで、株の体力を温存し、風通しを良くする効果があります。
冬の寒さ対策
ラベンダーは比較的耐寒性がありますが、品種や栽培環境によっては冬越し対策が必要です。
強い寒風や霜に直接当たると、株が傷むことがあります。
鉢植えの場合は、軒下や室内に移動。
庭植えの場合は、不織布などで株を覆うなどの対策をします。
水やりは生育が鈍くなるため、水やりの回数を減らします。
土の表面が乾いて数日経ってから、午前中の暖かい時間に少量を与える程度で十分です。
冬場は基本的に肥料を与える必要はありません。
寒冷地では、鉢土が凍結することがあります。
鉢を地面に直接置かず、レンガなどの上に置いたり、発泡スチロールの箱に入れたりして、凍結を防ぎましょう。
剪定(秋)は冬を迎える前に、枯れた葉や枝を整理する程度の軽い剪定を行います。
春に花を咲かせる品種の場合は、強い剪定は避けた方が良いでしょう。
室内に入れる場合は、暖房の直接当たらない、日当たりの良い場所に置きましょう。
乾燥しやすいので、時々葉水を与えると良いでしょう。
まとめ
ラベンダーが枯れる原因は、水やり、日光不足、病害虫など多岐にわたります。
枯れた原因を特定し、適切な対処をすることが重要です。
復活させる方法はいくつかありますが、必ずしも成功するとは限りません。
枯れた部分を剪定したり、肥料を与えたりして、少しでも回復するよう努めましょう。
ラベンダーが枯れてしまった場合は、原因を突き止め適切な対処をすることで、復活させることができる可能性があますので諦めずに対処することが重要です。
コメント